最大の出来事
「そんなことよりさ!」

 一桜は不自然にならないようにできるだけ明るい声を出した。

「今度、みんなで買い物をするでしょ?」
「う、うん・・・・・・」

 突然大きく話が変わったので、育実は戸惑った。

「何か買いたいものとかある?」

 何か欲しいものがあるか考えていると、潤一が教室の中に入ってきた。
 何の話をしているのか知ろうとしているので、来週行くショッピングモールの話をしていたところであることを言うと、彼の笑顔が消えた。
 潤一は育実と一桜が一緒になると、暗い雰囲気になりそうだと言ってきた。

「もうさ、いくみんに言いたいことがあったら、言えばいいじゃん」

 ここのところ、一桜の様子がおかしいので、育実は思い切って疑問をぶつける。

「一桜ちゃんの様子が変なの、もしかして私のせいなの?もし、そうなら・・・・・・」
「・・・・・・そうだよ」

 一桜の一言を聞いて、育実や潤一、クラスメイト達が無言になり、静まり返った。

「私、育実といるの嫌になった・・・・・・」
「どうして?」

 恐る恐る訊いてみると、一桜は育実を睨みつけた。

「いつも育実の世話をするのが疲れたの・・・・・・」
「一桜ちゃん・・・・・・」
「見ていてイライラするの!携帯だって本当は使えているの!どうして何でも信じるのよ!もう知らない!」 

 一桜は育実の肩を押して、自分の席に着いて、腕で顔を隠した。
 育実はどうしたらいいのかわからず、しばらく動けないままだった。
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