最大の出来事
 都合の良い聞き違いをして、話を先に進めないでほしい。
 
「ちょっと待って!どうして作ってほしいの!?」
「だって、育ちゃんの手料理が予想以上に美味しいから」

 璃穏はご飯を食べるときにあまりおかわりをしないが、育実の手料理を食べてからおかわりをするようになった。
 食事の準備や片づけを手伝ってくれるので、育実は前より楽になっていた。

「よろしくね、育ちゃん」
「空夜と同じ週二だよね?」

 育実は弁当を作る回数を恐る恐る確認する。

「毎日がいいな」
「無理です!」
「そんなことを言うの?俺を階段から突き落とした女の子は誰?」

 まさか璃穏に脅迫をされるとは思わなかった。大人しい男子だと思っていたら、こっちが本性なのかと育実は疑いたくなった。
 育実が自分の頭を抱えながら唸っていると、璃穏は咳払いをした。

「育ちゃん、そろそろ風呂に入ってもいい?」
「本当に毎日は無理だから!」

 育実はさっきの弁当の話で頭がパニック状態だった。

「・・・・・・何の話?」
「さっきの弁当の話だよ!」
「育ちゃん、俺の裸が見たいから、ここにいようとしがみついているの?うわぁ・・・・・・」
< 14 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop