最大の出来事
 璃穏はわざとらしい演技をして、後ろへと下がる。

「人をとんでもない人みたいに言わないで!!」
「あはは!」

 真っ赤な顔になった育実の頬を璃穏は笑いながらペチペチと叩いた。
 話を保留にしておいて、脱衣所から出ようとしたときに外から開けようとドアが動いた。鍵をしっかりとかけているので、ドアが開くことはない。

「おっと、入っていたんだな」
「空夜、育ちゃんを外に出してくれる?覗こうとして困っているから」
「ちょっと!」

 誤解を招くような言い方をされ、すぐに違うことを言った。

「覗こうとしていない!変なことを言わないで!」
「うわっ!本当に一緒にいるんだ。育実、後で話を聞いてやるから、とりあえず出ろ。な?」
「く、空夜!?」

 空夜の声がいつもより低くなって、本当なのだと勘違いをされてしまった。
 ドアが開いた音が耳に響いて育実が驚いていると、ズボンとパンツが風呂場から脱衣所へ投げられた。育実があれこれと考えている間に璃穏は風呂場へ移動して、中でズボンなどを脱いだ。洗濯機に置いていたバスタオルとタオルもなくなっていた。
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