最大の出来事
 空夜が余計なことを言ったため、急速に冷たい空気が流れた。
 育実がそっと上を見上げると、璃穏が見下ろしていた。楽しそうに口元を上げて、笑顔になっているが、目だけは笑っていない。
 今まで見たことがない恐ろしい表情になっていた。嘘を吐いたことに対して怒っている。

「それだったら、買うことができるよね?近いうちに買いに行こうね」
「ちなみに値段はいくらぐらい?」
「一番安くて百五十円、高くて四百円だぜ」
「私の分は買わないでおこう」

 できればすぐに食べたいけれど、我慢することはできる。
 育実はゲームを数ヶ月前から電話で予約をしているから、少しでもお金が減らすことは嫌だった。

「どうして我慢をしようとするの?」
「ゲームを買うから」
「前にパソコンの画面上にあったゲームだよな?」
「そうだよ」

 育実がこれから買おうとしているのは女性向け恋愛ゲームに一年前からハマっている。
 育実がゲーム好きなのは空夜は当然知っている。空夜もよくゲームをやっているので、育実と一緒にやるときがある。

「だったら、嘘を吐いた罰は別の方法で払ってもらうことにするよ」
「別の方法?何をさせるの?」
「それはゆっくりと考えるよ。育ちゃんはそれまで待っていて」
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