最大の出来事
「買ったの?」
「ううん、学校で阿佐部君にもらったんだ」
「私が食べちゃって良かったの?」
「うん」

 璃穏の分の飴はすでに食べたので、気にする必要なんてない。

「育ちゃん、阿佐部君が最近やけに俺に話しかけてくるんだ」
「それっていいことだと思うよ」
「うん・・・・・・」

 人との関わりがあまりなかった璃穏にとって、誰かと話をしたり、一緒に行動することで楽しさなどが増えてくる。
 しかし、他人から話しかけられることも自ら話しかけることもほとんどなかったので、璃穏は戸惑っている。

「今日はどんな話をしたの?」
「それがさ・・・・・・」

 璃穏はちょっと言いたくなさそうで、その先を言おうとしない。
 それでも育実は黙って待っていて、数分後にやっと璃穏の口が開いた。

「れ、恋愛・・・・・・」
「恋愛?」
「そう・・・・・・」

 今から数時間前、いつものように璃穏は育実が作ってくれた弁当を食べようとしているときに友希がやってきた。

「白沢!弁当、一緒に食おうぜ!」
「う、うん」
「今日も美味そうだな・・・・・・」

 璃穏が前に育実に頼んでいたおかずが入っている。
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