最大の出来事
 本当のところあったけれど、言いたくなかったので、別の話題で昼休みの時間を潰した。

「言って」
「な、何を?」

 嫌な予感がした璃穏は自分の予想とはずれてほしいことを願う。

「私も聞きたい。璃穏君、クラスの子でどんな子がいいの?」
「あ・・・・・・」

 嫌な予感が的中してしまったので、璃穏は項垂れる。育実を見ると、表情がキラキラとしていて、まるで餌を待っている小動物のようだった。

「育ちゃん、お腹が空いたな。ご飯を作って」
「ご飯?」

 それに対し、育実はきょとんとした。さっき、みんなでご飯を食べたばかりで、璃穏はしっかりとおかわりまでしていた。

「ご飯だったら一時間前に食べたよ?」
「そうだったね・・・・・・」
「チョコだったらあるよ?食べる?」

 冷蔵庫からチョコレートを取り出そうとしたら、璃穏が育実を止めた。

「ううん、いい、いらない!」
「そう?それよりーー」

 育実が続きを話そうとしたら、チャイムが鳴ったので、璃穏は玄関まで走った。外にいたのは空夜でコンビニから帰ってきた。空夜がキッチンへ行こうとしているので、璃穏と育実もキッチンへ向かった。
 空夜はコンビニの袋から買った商品を出して、冷蔵庫の中へ入れていく。
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