最大の出来事
「まさか俺と同じ年齢で、しかも同じクラスの女の子と同じ家で生活するなんて、思っていなかった」
「それは私もだよ」

 こんな風に璃穏と話をしたり、何かを一緒に食べたり、外出したりするなんて、少し前の自分が想像するはずなかった。

「楽しいね」
「璃穏君?」
「前よりずっと・・・・・・」

 璃穏はいつも以上に柔らかく、優しい笑顔を育実に向けている。

「育ちゃんと仲良くなれて良かった」
「同じだよ・・・・・・」
「ん?何?」

 きちんと聞き取ることができなかった璃穏はもう一度聞くために耳の横に手をくっつけて、育実に少し近づく。

「私も璃穏君と同じ気持ちだよ。私だって嬉しい」
「育ちゃん・・・・・・」

 璃穏は育実が欲しがっているものをくれるので、嬉しさと不思議な気持ちで心が満たされる。

「これからもよろしくね。育ちゃん」
「こちらこそ、よろしく。璃穏君」

 璃穏と育実は向き合って、深々と頭を下げた。
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