最大の出来事
 午前の授業が終わった後に違うクラスの男子生徒に呼ばれて、育実は名前も知らない彼と一緒に非常階段まで行った。
「あんた達さ、最近仲が良いよね?」

 四時間目が終わり、一桜が育実と璃穏を見ながら言った。

「そ、そう?」
「他の子達も言っているよ?二人でいるところを何度も見るようになったしね」

 恋人だと誤解されたくないので、極力目立たない場所で二人きりになっていた。
 しかし、一人が気づけば、次から次へとその人数が少しずつ増える。

「どうして急に仲良くなったの?ちょっと聞かせてよ」
「璃穏君、私は用事を思い出したから」
「待って!」

 踵を返して、再び教室を出ようとする育実の手を璃穏が掴む。

「ず、ずるいよ。育ちゃん!」
「何もずるくない!」
「ちょっと前までそんな呼び方していなかったじゃない」
「いや、これは・・・・・・」

 一桜が質問をしているところに友希が輪の中へ入ってきた。

「友希も気になっていたでしょ?この二人が急に仲良くなったの」
「あぁ・・・・・・」

 友希は自分の昼食のパンを片手に持ったまま、近くにある椅子に座った。

「きっかけは何だったの?育実」
「わ、私!?」
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