最大の出来事
 一桜に指名された育実はすぐに璃穏に助けを求めたものの、璃穏は育実の視線に気づいているが、助けようとせず、弁当を美味しそうに食べている。
 絶対に育実の視線に気づいているに違いない。

「俺にも教えてくれよ」
「えっとね、きっかけは・・・・・・階段」

 璃穏は苦笑を浮かべ、一桜と友希ははてなマークを浮かべている。
 二人に璃穏と一緒に生活している部分を除いて、詳しいことを説明すると、驚いて大声を上げた。

「嘘だろ!?」
「い、い、い、育実!あんた・・・・・・」

 あまりにも衝撃的な話なので、一桜は声が震えている。

「信多、ドジがそこまでレベルアップしたら犯罪・・・・・・」
「私もすごく驚いたよ!」
「俺はそれに加えて恐怖と痛みを感じたよ」

 満面の笑みを璃穏に向けられた育実はひたすら謝ることしかできなかった。

「階段から突き落として、友情が芽生えるなんて信じられないな・・・・・・」
「自然に仲良くなったんだよ」

 璃穏が大怪我をしなかったことを考えた育実は安堵の溜息を吐く。
< 48 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop