最大の出来事
 それから璃穏も一桜も育実と一緒にいる時間を増やしたものの、怪しい影が近づく気配はなかった。
 担任の先生が試験範囲が書かれている用紙を黒板の前に上の位置に磁石でつけた。

「ちょっと、英語の範囲が広くない?」
「プリントからも出されるみたいだね、一桜ちゃん・・・・・・」

 一桜は範囲を見て、がっかりしていた。

「お互いに頑張ろうよ。ね?」
「育実は前向きね・・・・・・」
「勉強はあんまり好きになれないわね・・・・・・」

 日々、勉強を璃穏や一桜、友希としていて、わからないところがあると、そこを教えたり、教えられたりしていた。

「勉強なんて退屈だな・・・・・・」

 まだ一時間しか経っていないのに、友希はもうやる気をなくしていた。

「ちゃんとする!私だって嫌なんだから!」
「二人はいいよな。頭がいいからさ・・・・・・」

 璃穏と育実は前からしていたことを言う。

「育実、入院中も勉強をしていたわね・・・・・・」
「うわっ!本当かよ!?」

 友希はガタンと音を立てて、椅子から立ち上がった。

「退屈だったから」
「俺だったら、元気なときでも毎日ずっと寝ているな・・・・・・」
「いや、少しは足とか動かしなよ」
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