最大の出来事
「すげぇな、白沢!またストライクが出たぜ!」

 興奮して叫んでいるのは種房潤一(たねふさじゅんいち)。

「偶然だよ」
「ただの偶然が何回も出るかよ・・・・・・」

 友希は悔しそうにしていると、垣添悠(かきぞえはるか)が笑いながら頷いた。
 潤一と悠はクラスメイトで、前から璃穏や友希と話していて、仲良くなった。

「白沢が圧勝じゃん!」
「白沢君、小さい頃から練習してきた?」
「ううん、勝負に負けたくないから」

 璃穏は負けず嫌いなところがあることを知って、三人は少し驚いた。

「俺さ、白沢がもっと暗い奴なのかと思っていたけれど、全然そんなことがないんだな!」
「潤一!はっきり言うなよ・・・・・・」
「いいよ、垣添君」
 
 璃穏が間に入ると、悠がすっと立ち上がった。

「白沢君、面白い人だね。周りから言われない?」

 悠の質問に璃穏の記憶の中で少数の人達に言われたことがある。

「うーん、ときどき怖がられることはあるよ」
「本当に!?」

 それに対し、潤一と悠は目を丸くして、友希は苦笑いを浮かべている。
 イヤーカフスをつけたり、髪を染めたりしていることを二人は知らないから。
< 68 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop