最大の出来事
 一回だけ学食へ行ったことがあり、味は悪くなかった。
 しかし、食事中に予想以上に生徒や先生が集まったので、それ以来、教室で昼食を食べている。

「羨ましいな。俺はパンばっかりだ」
「でもさ、潤一は前に自分でおにぎりを作ってきていたよね?」
「そうなんだ」

 けれど、三角に握る予定だったのに、思うようにできず、丸いおにぎりに変更した。

「やっぱりいつも違うものを食べたいな」
「学食だと、席は早い者勝ちだからね」
「垣添君も弁当だよね?」

 璃穏が質問すると、悠は頷いてから、母親に作ってもらっていることを教えた。

「白沢、言いにくくないか?白沢も下の名前で呼べよ!俺も呼ぶからさ!」

 実はさっき、璃穏は危うく舌を噛みそうになっていた。

「構わない?」
「もちろん、僕も呼ばせてもらうよ。璃穏君」

 三人で微笑み合っていると、友希が目を細めて見ている。

「おい!お前達、俺を置いて行くなよ・・・・・・」
「悪い、友希のことはとっくに名前で呼んでいるからさ・・・・・・」

 潤一が友希に謝っていると、エレベーターを待っている家族連れが天気について話している。
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