最大の出来事
「どうしてだよ?名前で呼ぶことは普通だろ?璃穏・・・・・・」

 育磨も璃穏と育実のように母親の病院に来ていた。

「仕方ないな、育実ちゃん」
「は、はい!」

 背筋を伸ばして返事をすると、育磨が両手を広げた。

「ちょっと抱きしめてもいい?」
「やめろ!この馬鹿!」

 璃穏が育磨の腹を強く蹴ったので、育磨は震えながら座り込んだ。

「璃穏君!駄目だよ!育磨さんに乱暴なことをしたら!」
「だってあのままにしていたら、育ちゃん、絶対に抱きしめられて骨を折られていたよ」
「お、俺はそこまで強くしない・・・・・・」

 さっきまで動くことすらできなかったのに、育磨はもう回復した。

「痛い・・・・・・」
「大丈夫ですか?」
「あんまり・・・・・・」

 それを聞いた璃穏が声を上げた。

「あれくらい平気だろ!?嘘を吐いて、育ちゃんに心配してもらってさ!」
「平気じゃない」
「俺と数え切れないくらいに喧嘩してきた奴の言うことじゃない!」

 昔から璃穏と育磨は喧嘩をしていて、その度に母親に心配をかけていた。

「育実ちゃん、璃穏は俺に勝ったことがほんの数回なんだぜ・・・・・・」
「馬鹿!言うなよ!」
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