最大の出来事
 宝くじでも当てて買えばいいことを空夜が言ったので、育実は空夜に当てるように言った。

「無茶を言うなよ」

 宝くじを当てるなんて、誰も到底できることではないことだ。

「璃穏兄ちゃん、もしも当たったら、何が欲しい?」
「えーっと・・・・・・」

 しばらく考えた璃穏は新しいパソコンを欲しいことを伝えた。

「今のパソコン、古い上にかなり画質が良くないから・・・・・・」
「俺も前に璃穏兄ちゃんのパソコンで動画サイトを開いたけれど、かなり暗かったな」

 自分のパソコンがあるのに、空夜はときどき璃穏のパソコンを使うことがある。

「育ちゃんのパソコンが一番いいね」
「育実、璃穏兄ちゃんにパソコンをやったらどうだ?」

 そんなこと当然無理に決まっている。

「璃穏君、あげることはできないけれど、貸すことだったらできるから、必要なときには言ってね」
「ありがとう。育ちゃん」

 にっこりと笑う璃穏を見て、育実は無意識に見惚れていた。
 異性の笑顔を見惚れることなんて、今まで生きていて、一度もなかった。

「ところで育ちゃん」
「何?」
「今日、ホラー映画が放送されるんだよ」
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