君がいないと落ち着かない
付き合ってることを知られないためには、一緒にいる所を見られないのが一番いい。
そうすると登下校は出来ないし、遊びなんて面倒くさくて行きたくない。
結果、一緒にいないから手も繋ないでいないのが今の現状だ。
それでも、メールや電話を繋いでお互いを知ることはたくさん出来た。
千尋は、中学時代から仲間達とバンドを組んでいることや弟が1人いること、小学生の時に両親が離婚して母親と3人で暮らしていることなどを絶え間なく声色をコロコロ変えながら教えてくれた。
メールより楽な電話を好む忍は、それに答えるように忍もたくさん自分の話を千尋に聞かせた。
笑ったり、考え込むように黙ったり、優しく「うん」と呟いたりと彼は電話の奥で色んな反応を返してくれた。
その日の放課後、部活の顧問が風邪を引いて休んだために急遽部活が無くなり、時間が出来た忍は私服に着替えJYANDOLを買った三毛猫書店で-Ⅲ-の上巻を買うため本を眺めていた。