君がいないと落ち着かない

《ああ、うん》
ショックの大きさで肩を落とす。
それに加えて、唯一の楽しみである電話切られてしまう。
俺、もう再起不能
心の中でそう思った時、いつもならすぐに切ってしまう忍がまだ通話を止めていないことに気がついた。
いつ切られるかと怯えながら口を開こうとした時、電話の向こうから声が聞こえた。
《楽しみ》
さっきまでの冷淡とも言えるほど冷めていた声ではなかった。
彼女がJYANDOLの話を千尋に聞かせているときと同じ声だった。
優しくて暖かくて、言葉にしたら皆同じに感じてしまうけれど、忍にしか出来ない千尋を安心させる声だった。
《俺も》
切られてしまわないうちにとすぐ言った。
幸せに満ちながら千尋はゆっくりベットに潜り込んだ。




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