君がいないと落ち着かない
「危ないから前見て歩け」と言われるが、前を向いて歩くと階段につま先をぶつけて転びかけることが多くなる。
部屋のある階まで上り、ドアの鍵を開けて中に入り積まれた座布団に体を沈ませた。後ろに続いて入ってきたれー子達がテレビを点けた。
「シノちゃ~ん」
林が忍の上に体重をかけて座ってきた。腰が弓なりに反りそうになった。重みにあえぎながら手足をバタつかせて抵抗するが林の体には一度も当たらなかった。
「どけぇぇぇ、林ぃぃぃぃ~」
林を退かそうと声を挙げると、思っていたより地を這うような低さに怒りを混ぜ合わせながら唸るような声になった。林が退くと、弓なりにしなった体が元に戻る感覚がした。首を回してテレビに目を向けた。忍が横になっている4枚ずつ積まれて3つに分かれた座布団に林が寄りかかり、テレビを見ていた。河崎はクラスの違う友達の所へ行ったらしく、3人はテレビに見入っていた。
「お菓子食べますかい?」