君がいないと落ち着かない

ポテトチップス、アイス、カップ麺の入ったビニール袋を下げて、家から家へ田んぼ道や畑を脇に置く道路を進みながら松浦の家を目指す。
松浦は学校のある駅から下り方面で千尋達とは反対だ。
この日は12月31日、今午後4時を回ったところでやっと松浦の家に着いた。
ピンポーン
「はーい」
ドア横のインターホンを押すと中から女の人の声が聞こえてきた。
迫ってくる茶色より赤みがかったドアを避けて内側に入ると、長い茶色の髪を1つにまとめた松浦の母と目が合い、会釈した。
「はじめまして、榎本です」
「智弥のお友達ね、2人は来てるよ」
「はい、失礼します」
「いーえ、上に上がって右の部屋ね」
「ありがとうございます」
お礼を言った後、玄関の近くにあった階段を上って言われたとおり右の部屋に声をかけた。
「おい!」
「おー!千尋かー」


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