君がいないと落ち着かない

「痛ぁ~」
「笑うから」
目線だけ下に向けて見下ろし、唇を窄めて拗ねた表情をする。
まだニヤけながら見上げていた千尋は、スッと立って忍の横に並ぶ。
「コンビニに行こう?」
忍の左耳に、千尋の声が優しく聞こえた。
「何買うの?」
コンビニに入って忍が、カゴを手に取った千尋に聞いた。
「ジュースかなー」
「ふーん」
お菓子の両棚を交互に見ながら、忍を先頭にジュースのケースまで歩く。
「忍って何が好きなん?」
「赤いラベルのストレートティー」
千尋と並ぶように端に避けた忍は丁度、目の前にあったペットボトルを指差した。
「俺、それ飲むとトイレ行きたくなるんだよね…利尿作用でもあんのかな」
「アハハハハッ!」
お店の迷惑にならないように堪えながら笑うと、千尋が驚いた表情で忍を見つめた。
「そんなにおかしい?」


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