君がいないと落ち着かない

ケースに並ぶペットボトルを選ぶために屈んでいた千尋の眉が、だんだん八の字に変わっていった。
「アハハッ!自分もそう…」
笑い過ぎて目に涙が滲んできた。
「え!飲むとトイレ行きたくなるの?」
コクコクと上下に頭を振って肯定する。
パッと表情が明るくなると、千尋も忍と同じように噴き出して、笑い始めた。
「ハハッ、一緒じゃん」
まだ笑いを含んだ声色で喋りながら、ケースから1.5リットルサイズのサイダーやコーラ、忍が好きなストレートティーもカゴの中に入れた。
「トイレの回数増えるよ?」
「平気、既に7回もトイレに行ってる田島には勝てない」
驚いて目を見開いた忍に、千尋が照れたみたいにハハッと笑ってみせた。
両手で1.5リットルサイズが3本も入ったカゴを胸の辺りまで持ち上げて、レジの方へと歩きだした背中に向かって忍が言う。
「先に外いるね」
「うん」と軽く返事を返された後、忍はそのまま外に出てゴミ箱の横で千尋を待った。


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