君がいないと落ち着かない
1月2日の午前10時前に土手下で千尋を待っていようと考えていた忍は、その日寝坊した。
理由は前日の夜に読み出したJYANDOLの世界に引き込まれ、やっと読み終わり抜け出したのは朝3時30分だった。
そこから寝て起きたのは9時45分。
眠気で視界がぼやけながら服を選び、寝癖を手櫛で梳かして、その他の準備を終えて出たのが待ち合わせ時間の10時だった。
走って15分ぐらいだろうか、やっと石の橋がある土手に着いた。
青いダッフルコートにジーンズ、パーマかカールか分からないけれどくるくるした毛先の髪型。
遠くからでも千尋だと分かった。
「ごめん」
息が荒く、肩が上下してるのが自分自身でも分かった。
微笑む千尋の雰囲気からは怒ってるようには見えなかったが、罪悪感から目頭が熱くなってきた。
「罰ゲーム」
コートに手を突っ込んだまま、忍と向き合った千尋は笑うのを堪えてるように見えた。