君がいないと落ち着かない
「罰ゲームって何?」
頭二つ分高い千尋を見上げて聞いてみたけれど、ニヤニヤするばかりで答えてはくれなかった。
『目をつぶって』
言われたとおり目をつぶり、真っ暗の中で罰ゲームについてを考えてみた。
つねる、でこぴん……キ、キ?
え!?待った
どうしよう、まだ無理だよ!
焦り過ぎて背中に熱が籠もりだして、汗が噴き出してきた。
困惑の中で千尋の気配を捜すと、ふと、寒さで冷えた頬に温かい手が添えられた。
まさか!?
その温もりに、思わず身体が逃げようとしてびくっと動いた。
「大丈夫、キスしないから」
低く優しい声と言葉に安心もした忍だったが、小さくショックを受ける自分がいた。
左頬に添えられた手は撫でるように髪を耳にかけ、髪止めの金具の冷たさが染みた。
パチンと軽い音がして固定された。