君がいないと落ち着かない

『千尋が楽しければいい』
頭を直立させているせいで千尋からはつむじしか見えず、表情は分からなかった。
「ありがとう…」
照れを隠そうと鼻をすすってみたがすぐに、わざとらしかったことに気が付いて恥ずかしくなった。
「あ、あれってさ?」
千尋のももに頭を預けてまどろんでいた忍を見ると、本棚の方へ向けて指を差していた。
その方へ視線を移す。
「卒業アルバム?」
漫画本がズラリと並んだ一番端に、背の高いアルバムがひっそりと立っている。
「小・中のアルバム。見る?」
「うん」と短く返事をすると、忍は横になっていた体を上げて千尋の隣に座り直した。
二冊のアルバムを取り出して、忍の目の前に出した。
千尋も隣に座ってパラパラと捲り、追うように忍が写真を眺める。
「あ、この子めっちゃ可愛い!」
「え?そう?」
6年1組の生徒が1人ずつ並べられたページで、忍が1人の女の子を指差した。


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