君がいないと落ち着かない
千尋の体温を感じながら、眠りにつく忍は柔らかい微笑みを浮かべていた。
「…ん、んー」
目を開け、欠伸で涙の溜まる目で暗くなった部屋を見回した。
自分の部屋じゃないことに気付いてびっくりして、ベッドに座り直して部屋を眺めながら色々考えた。
やっと千尋の家だと思い出すと、壁際に人の気配を感じた。
そっと見てみると千尋が隣で寝ていた。
少女漫画かよ
と突っ込んで退こうとも思ったが、世に言うイケメンが隣で寝ていたら退きたく無くなってしまった。
日がさして明るかったため、電気を付けないでいた千尋の部屋はもう陽も暮れていて、暗くなっていた。
ぼんやり薄く浮かぶ千尋の寝顔を見つめていると、思わず考えていたことを呟いていた。
「…どうせ、私なんか好きじゃないくせに」
「……」
「何で付き合ったの?」