君がいないと落ち着かない
「待て!止めれ!」
バタバタと緊張の溶けた忍の体をばたつかせて抵抗すると、嫌だと分かったらしくベッドを降りて電気をつけた。
「ごめん…」
悲しげな表情を浮かべ謝った千尋は、マグカップを2つ両手に持って部屋を出て行ってしまった。
気持ちを整えてベッドから降り、壁に寄りかかるように座った。
少しして千尋が戻ってきてマグカップを手渡された。
二人で並んで座わり、ココアを飲みながらしばらく黙っていたが、千尋が戸惑いを見せながらも最初に口を開いた。
「……ごめんなさい」
「ん?何が?」
「押し倒したっていうか、キスしようとしました」
何に対して謝っているのかなんて、始めから分かってはいた。
ベッドの上で行ったこと、あれは恥ずかし過ぎて思い出したくないのが正直な所だ。
「……うん」
うわぁ、めっちゃ恥ずかしい…