君がいないと落ち着かない

キスってどうやるんだよ…
口臭とか平気だったかな、つか息は?してていいの?
もんもんと考えていると、千尋がマグカップを床に置いて忍の方へ体を向けてきた。
「…忍、俺が遊びだと思ってるの?」
「え?」
千尋と目が合う。
切なげで哀しそう、もったいない、せっかく整った顔立ちなのに…
「信じてないでしょ?」
信じてない、そう思わせるように忍は千尋から目を逸らしてココアの濁りを眺める。
「…」
「もう帰るよ」
「え?」
「遅くまで、お邪魔したね」
彼の哀しみを和らげるため、なるべく優しく頬笑んで千尋にいとまを告げた。
「駅まで送る」
「弟さんに挨拶…」
「多分、寝てる」
そう、と頷いて千尋の家を出た。
駅で分かれ、そのまま忍は家へと帰った。


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