君がいないと落ち着かない

「シノちゃん、男子が呼んでる」
3時限目と4時限目の間の休み時間。
机で静かに本を読んでる忍にれー子が近づいてきて言った。
「誰?」
「えっとね、あの人」
廊下を差すれー子の指先を辿って見てみると、知らない男子生徒が立っていた。
栗色の髪がくるくるとしていて、ぱっちりした丸い目に通った鼻筋に薄い唇がシャープな輪郭の中に収まっている。
身長は忍より若干高い。
「呼びました?」
「あ!青倉さん?」
「…はい」
「俺、千尋の友達の榊です」
意味がわからずただ聞いていたが、今日の放課後にこの榊という男が来るまで教室で待っていてくれということだった。
「待っていてくれます?」
「……うす」
頷きながら返事をすると、榊も同じく頷いて2人は別れた。
「何だったの?」
教室の中に入った忍にれー子が聞いてきた。


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