君がいないと落ち着かない

れー子はというと、林のペンケースを見つめながら頬をピンクに染めている。
「うそ!」
「本当なんだよー」
悔しそうに顔をしかめ、足をバタバタさせるから忍の脛にもろに当たって痛い。
「林っ、痛い」
上履きの先を避けながら伝えるが止める気配は一向になく、れー子側に寄って話の続きを聞いた。
「うちは夏休みに告られたんだー」
「私は終わってから、夏休み中ずっと遊んだりメールしたりしてた」
れー子に続いて河崎と、隠す素振りも見せずに話してくれた。
「シノちゃんは?」
「えっと…」
あれ?いつだっけ…憶えてない…
普段使わない脳までフル回転で千尋が告白してくれた日を探すけれど、全然出てこない。
「憶えてないの?」
「うん」
「それ、ヤバいよ。シノちゃん!」
「彼氏可哀想だよ」
グサグサと刺さる河崎とれー子の言葉。


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