君がいないと落ち着かない
見たこともない忍の同級生を思い描いて、息が苦しくなった。
頭がいいとかイケメンだとか、自分に無い良い男を当てはめていったら、震えてきた。
《好きだった。正直、今も好きだな》
終わった。
「忍ちゃん、それ彼氏に言っちゃうの?」
《憧れだよ、あの人は》
イライラしてきた。
その男にも、忍にも、俺自身にも
「…ごめん、眠いから」
《うん、おやすみ》
「おやすみ」
忍は必ず千尋より先に切ることはない。
今日も同じように千尋から切った。
「振られちゃうんかな…」
「二股でもしたの?」
千尋の後に風呂に入った実尋が、頭を拭きながらソファーに座った。
「してねぇよ、ライバル出現だよ」
ハハッと笑う実尋に一発蹴りを加えた。
「勇者の剣で倒しちゃえば?」
「お前ってクール気取ってるくせに、たまにメルヘンチックなこと言いだすよな」
「黙れ、変態」