君がいないと落ち着かない
ぱっちりした目に小さく通った鼻に薄い唇、顔とか手とか全体的に小さくて小動物みたいで、女子ウケが良さそうだ。
「あ!俺とその子、あんたと彼女でダブルデートは?」
は?
正確に言えば………三角関係?
この提案聞いたら絶対、忍喜びそう
「多分、無理だな」
「えー!何でよ」
「つかもう好きなわけ?」
「うん」
え?嘘だ!
それは困る!忍に振られる!
『めっちゃ好き』
ふざけるなー!
怒りが立ち込めて、とっさに立ち上がると、奴が千尋を見上げる。
「悪い、行くわ」
突き放す言葉を吐き捨ててその場から逃げようとすると、すっかり汗も乾いた手が千尋の腕を掴んだ。
細いくせに意外と力が強い。
「名前教えてよ、俺は真田琴」
「榎本千尋」