君がいないと落ち着かない

JYANDOLを読み終えた忍は、最近、学校の図書室に通っている。
本を選ぶのと平行して、個別に壁を隔てられた机で、テスト勉強をするようにもなっていた。
今日もそこで勉強した後に、読み続けている本を読み、借りずに図書室を出た。
窓が連なる廊下には、赤く染め上げられた太陽が、制服のブレザーやスカートに色を映している。
高校1年の月日は長いようで短く、色んなことが起こり過ぎたようで、少しずつ思い出していくと長くかかるだろう。
そろそろ春に近づき、冬が終わる。
2年生になって新学期を迎え、年を越せばもう、高校最後の3年生となる。
卒業。
皆、違う大学に行く。
河崎は美容の専門学校に行くらしいし、林は教師へ、れー子は看護へと、もう既にやりたいことが決まっている。
忍だけがまだ定まっておらず、3人よりも遅れを感じていた。
廊下に射し込んでいた夕陽の光は、時間が経つに連れて闇に呑まれていった。


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