君がいないと落ち着かない

イライラしながら窓に気を配っていると、遂にその榊が来た。
「待って!話が!」
叫んで止めた榊は、驚いた様子をしていたが、忍が教室に出るまで待っていてくれた。
「あの…、千尋に伝えて欲しくて…」
慣れない人と、更に男子に話し掛けるのは、異常なほどに緊張する。
でも、目を逸らしたまま話すなんて失礼に思えて、なるべくジッと見つめるようにした。
「自分で千尋に話したほう……が…」
「何なんだよ、話って」
背筋がぞわっとして振り向くと、そこには千尋が立っていた。
「電話もメールも無視して、榊に話して欲しいって何?」
「…千尋っ、」
榊が苛立ちを露にする千尋を、榊がなだめようとしたが、鋭い目つきで睨まれた。
「何でもないよ」
「何でもねぇわけねえだろ」
怒る千尋が怖くて、視線を下げて顔を見ないようにする。
どうして怒っているのかを考えてみるが、心臓がうるさくて、冷静に頭が動かない。


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