君がいないと落ち着かない
「何してんだよ、相手は女子だぞ?」
忍を見送った後、肩を掴んだままの夏井が、後ろから責めてきた。
「……榊、何言われた?」
目に前髪が掛かっていたが、構わずその間から睨み付けた。
一瞬ビクッとした榊だったが、噛み合った視線を逸らさないまま、力強く言った。
「本人から聞くべきだ」
「…っ!てめっ!」
「千尋!」
掴み掛かろうとする千尋を、夏井が止めさせる。
「………ごめん、頭冷やすわ」
額に右手を当てて顔を隠す。
自分に嫌気が差した。
千尋に気を遣ってか、クラスの人からは何も言われずに、1日を過ごした。
そっとしておいた榊達も、頭の冷えきった千尋が微笑むとすぐ、傍へときてくれた。
「榊、悪い、言い方キツかったよな」
「気にしてねぇよ」
「それより青倉さんだろ」
確かに…