君がいないと落ち着かない
急に哀しみが広がる。
後2年、こいつらとふざけあって過ごせないのだろうか。
「…千尋?目が遠い所を見てるぞ?」
「え、あっ、わり…」
「行くのか?」
「あぁ」
慣れない図書室の前に立つ。
入ったのは、入学した次の日にあった校内見学以来だ。
・私語厳禁
・飲酒禁止
などの注意事項が、曇りガラスのドアに貼られた紙を読んで、そっと中に入ってみた。
本が敷き詰められた棚がズラリと並び、白いパイプテーブルが6つ置かれていた。
本棚で仕切られた向こうには、個別に区切られた、勉強机があった。
他に椅子やテーブルはなく、そろそろと勉強机エリアを見回すと、忍らしき女子が1人座っていた。
区切りに使われた棚の奥には、おばさんが眠そうに座ってた。