君がいないと落ち着かない

「死ぬとか、無いっしょ」
「人はいつ死ぬか分からないんだよ、私が今ここから飛び降りれば、それが“いつか”の答えになるんだよね」
忍がたまに、こうやって現実に浸ってしまう姿を見るのは、怖さもあるが、大体は物語みたいで好きだった。
人の感性は凄いって聞いたことがあった気がするが、忍は物凄くいきなりおかしなことを言いだす。
淡々とと自分の考えを織り混ぜながら話す。
最終的には頭を傾けて「何が言いたいのか分からないね」って笑いながら言って、元の忍に戻るんだ。
「何考えてるの?」
「明日のこと、明後日のこと…、分からないのに考えてる」
「…俺のことは?」
「千尋のこと…、もうずっと一緒にいると思ってるのかも…」
千尋にとってのその思いは、すごく嬉しいことなのに、忍はそれを、残酷で哀しいことのように呟いた。
窓の外には夕陽があって、赤い炎の丈を伸ばし伸ばしで、地球を囲もうとしてる。


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