君がいないと落ち着かない

松浦は清潔感のある綺麗な顔をしている。引き締まった顎にぱっちりした目、通った鼻の下には薄い唇がある。陰では松浦を好きとかいう話をする女子だって少なくないし、男子ウケだっていい。何故こんなにも女子にも恋愛にも興味がないままでいられるのかが不思議だ。
「さいでっか」
練習着に着替えてバッシュを履いた。真ん中の松浦も座る長椅子に腰を掛け、片足を椅子に乗せて紐を締める。
「ちー君は本読まないの?」
「文字ばっかだと吐く」
ブハッと松浦が噴き出した。そんなに面白かったのか、まだ笑っている。
「ちー君らしいや」
声を上げて笑っていた松浦が落ち着き始めると2人して部室を出て体育館へ向かった。


次の日の6時間目。学年集会が開かれ俺は体育館で夏井や柊一郎達と喋っていた。2組、3組とぞろぞろ入ってくる生徒達で、若干体育館内は暑さが籠もっている。
2組の知り合いや松浦と話をしていると、背中に誰かがぶつかった。


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