君がいないと落ち着かない

自分より前の方に座る彼女の顔は見ることが出来なかった。後ろを見てくれればと願ったが、カーテンの隙間から零れる光に顔を上げる横顔ぐらいしか見ることが出来なかった。彼女の顔を思い出そうとすると、背中ね彼女がぶつかった場所に熱が籠もって汗が滲み出そうになった。
《以上。起立、気をつけ礼。》

マイクを通した生徒指導の先生の声に合わせて立ち上がり、礼をしてまた座った。6組から体育館を出ていくのを眺めたが時々、彼女を盗み見てみたが、彼女も6組を見てるせいで顔は見ることが出来なかった。
3組が出ていき、2組が立ち上がって、舞台に背中を向けると彼女の顔を見ることが出来た。でも、俯いていて前髪と横髪が邪魔してはっきりとは見えなかった。「見たい」という欲に駆られて自分もふざけて立ち上がった。
彼女が顔を向けてくれると思ったけどその前に担任が近寄ってきたおかけで、俺は担任の手にある丸くなったプリントの束から逃げた。


< 26 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop