君がいないと落ち着かない
青倉さん
「さっきの人ヤバくない?」
体育館を出た先の広い場所で待っていた3人と合流すると林が我慢していたかのように口を開いた。
「ヤバかったよね、めっちゃ笑った」
「だよね、でもさシノちゃんの方見てなかった?」
河崎が忍を指差しながら聞いてきた。
「あ、でも目合ったよ」
「ほら、やっぱり」
林と忍が並んで進みだすと後ろで河崎がれー子の横で満足そうに言った。1組の生徒達に追い越されないように歩き出すと、体育館からあの男子生徒が出てきた。
周りより頭一つ背が高く、細いなりにも肩幅は広い。引き締まった輪郭に整った眉とスラッと透った鼻、吊り上がった目尻で切れ長な目が収まり、絵に描いたような端正な顔立ちだった。
その切れ長の目が流れる生徒の波の中から誰かを探しているように思えた。
さまよう彼の視線と忍の視線を絡み合った瞬間、見つけたような彼の表情に忍は驚いて一瞬怯んだが胸の奥で心臓が高鳴っていた。