君がいないと落ち着かない

黒い文字でJYANDOL-Ⅰ-と印刷された紙をめくり、目次を眺めた。
次のページには、物語に出てくる人物とその人の説明が綴られており、そこで千尋はこの本はホラーでもミステリーでもない“悪魔を主人公としたファンタジー”だということに気が付いた。
表紙に描かれたJYANDOL(ジャンドル)は物語の主人公の名前だ。ページをめくるともう見慣れたようにも感じるジャンドルという文字が太く綴られ、少し間を空けて本編に入った。
ジャンドルという少年はその年て二十歳になる若い青年だった。父親を産まれる前に病気で他界し、母親はジャンドルが産まれた日に出産のときの疲労で衰弱し、日が変わる前に息を引き取った。
生まれて間もないジャンドルは父親の兄であるバルトに快く引き取られ、山々が囲む小さな村でバルトとその息子ジルファと3人で農作業を手伝いながらのびのびと生活していた…
「あの…」
そこまで読み終えた所で誰かに声を掛けられた。



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