君がいないと落ち着かない
「他、回ってきていいぞ?」
俯せたまま言った。3人は顔を見合わせてから俺を見て「別にいい」と言う。
遠慮とか仕方なくみたいな言い方じゃなくて、本当にどうでもいいって感じで言ってくれる。
千尋自身が3人に優しくしたとか借りがあるなんてことは無い。どっちかって言えば今みたいに優しくされたりと3人に頼っている。
「ありがとう…そんなに言うならジュース買ってきてくれてもいいぞ?」
「ふざけんな」
榊が笑い飛ばすように言う。
「俺らの分も買ってくれんならいいよ」
夏井が笑いながら千尋に言葉を向けた。他の2人も薄らと笑っているのが分かった。
「あ、あと20分で集合時間になるよ」
「じゃあ行くか」
ガタッと椅子を引く音がしたあと、誰かが千尋の頭に手を乗せて離した。
「誰だ~」
ゆっくりと顔を上げると榊が千尋から見て一番手前に立っている。
「お前かぁ~!!!」
素早く立ち上がってリュックの片側を肩に掛けて榊に飛び掛かった。