君がいないと落ち着かない

「おわっ!気持ち悪いんじゃなかったのかよ!」
榊が叫びながら逃げるのを全速力で追い掛けた。
さっき俯せに座っていたのが効いたのか、不思議と気持ち悪いのが消えていて、その爽快感からいつもより足が軽く榊の背中が近づくのが早かった。
「千尋!こっち来んなぁぁぁ!?」
「榊~!!!」
千尋達の横で色んな人がこっちに視線を向けてくるのが分かった。
小さな男の子と手を繋ぐ母親に隣同士で歩くカップル、他の学校から来ている生徒、皆彼らを見てるけど大して気にもならない。
エスカレーターの横にある階段を榊が上り始めた。千尋もその後を段飛ばしで上がった。
そっから集合場所へ通じる道幅の広いコンクリートの地面を走って追い掛ける。
千尋は夏井達が気になってパン屋の前を見たけど2人はいなかったが、数人の女子が歩いているのを見つけた。その中で青いパーカーが一番目を惹いた。
前を見るともうそろそろ時間なのか森山の生徒が千尋達を見ていた。


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