君がいないと落ち着かない
3人にはそういったことはきちんと説明してはあるが千尋に口止めされてるから言う心配はない。言うとしたら前に付き合った子にポロッと言っちゃって、その子がポロッ言っちゃうぐらいだ。
今、3人を質問攻めにしてる奴らはきっとそういった話を聞いたからだろう。
「歌うぜぃ!!」
千尋が入れた曲のイントロが流れだし、マイクをにぎって腹から声を出したら部屋中に響いた。多分、通路にも漏れているだろう。
それでも構わずに声を上げた。
これ以上は夏井達も質問を交わしきれないだろう、と千尋は思ったからだ。
「やっぱちー君、歌上手いな」
しつこく田島に聞いていた男が千尋の声を聞いて呟いた。
それから、3人と千尋達に問いかけてくる奴はいなかった。
次の日の、朝のHRで千尋を含め1組の4人のバスケ部員は担任から放課後の部活が無くなったと言われた。きっと、顧問の“てっちゃん”―寺井だから―が腹を壊したんだと推測できた。