君がいないと落ち着かない
てっちゃんこと寺井 周治-テライ シュウジ-はお腹が弱いと分かっているくせにアイスや氷で冷えた飲み物などを好む人だ。
部活に来ない時は大体お腹を壊している。
それでも3年の部長が居たときは構わず部活を続けられていて、たまにてっちゃんがお腹を抱えながら部活の様子を伺いに来ることで成り立っていたが、大学受験に専念するために3年生が部活を辞めた今はそれも出来ないのだろう。
とにかく部活がないのならばその分時間が出来る。
千尋は青倉さんが買っていったあの本の魅力に惹かれ、もう一度読みたいと思っていた。
あまり文字ばかりの本は苦手だったがJYANDOLだけは違っていた。
頭にジャンドルの住む世界が広がっていく。彼の食べるパン、住む家、声、性格などが虫食いながらも鮮明に描かれる。
その姿の魅力は鋭く、千尋の心は浸食されきっていた。
時間の出来た今日の帰りに買っていこうと思ったが、他の3人は部活が違うから買い物には付き合えないから、結局1人で行くことにした。