君がいないと落ち着かない
「俺が学校を辞めて、あいつらが悲しんだとしても連絡は今までどうりに出来るし遊ぶことも出来るじゃないっすか」
これはただの屁理屈だ。
言いながら千尋は自分が惨めに感じ、青倉に千尋のイメージがこんな人間だと認識されたらどうしようと思った。
「それは最初だけのこと、時間が経てば彼らの中にあなたの存在は確実に薄れてしまう。」
「…」
「学校を辞めても、彼らとは遊ぶことも連絡を取り合うことも出来る。けれど、毎日顔を合わせることは出来なくなる。学校行事が入れば会う時間もなくなるし、あなたのいない時間が増えれば彼らの頭の中にあなたは居なくなっていく。」
千尋は耐えられなくなって視線を逸らした。
「そうやって榎本千尋という存在は薄れ、やがて消えていく。残るのは名前だけになる」
千尋は何も言えなくなっていた。
そして、彼の頭の中には中学時代に仲の良かった友達を思い出していた。
毎日語り、ふざけあった彼らとは連絡先は残っているものの取り合ってはいない。