君がいないと落ち着かない
3年もの年月が過ぎたある日、村人達はジャンドルを海に捨てた。ゴミを捨てるように、合ったものを無かったことのように…
長い年月の疲れや死なない死刑執行で体に力が入らないおかげとも言うのか、海に沈み溺れることは無かった。傷口から海水が染み込む。
穏やかな海の波に揺られ、ジャンドルは岸に打ち上げられた。その頃には傷口は塞がっていたが、餓死寸前のジャンドルには動く力など消え失せていた。
そこへ16歳の少女トリスがジャンドルを見つける。
天空から舞い降りた女神のような美貌をもつ彼女はジャンドルが打ち上げられた村の住人から一目置かれていた。
彼女はジャンドルを人間だと思い、必死で彼を看病する。
2人は忍が話している間ずっと、本を眺めていた。
忍は深緑を見つめながらも、千尋が自分の言葉を一語一句聞き逃さないよう真剣に耳を傾けてくれていることが嬉しかった。