君がいないと落ち着かない
罰ゲームです…か?
今俺の手は黒いカバーの分厚い本を持っている。
これは1組の青倉さんに貸して貰った本だ。
「じゃあ、クラスの方へ持ってい来ますね?」
頭を2つ分位だろうか。
周りの女子より若干高いくらいの彼女と並んでも、自分の背の高さが目に見えて分かった気がする。
千尋は忍に見上げられながらそんなことを考えていた。
目の前のピンクに輝いて見える女子に、廊下から自分のいる教室を覗き込まれ…
「あ!俺、自己紹介しましたっけ?あれ、さっき俺の名前言ってませんでしたっけ?」
「……榎本千尋さんでしょう?」
……俺の、俺の名前を呼ばれた!!
「あ、知ってますね…」
そうやって話したのが3日前。
そして今日の2時間目休みに彼女は黒いカバーの本を胸に抱えてこの1組の教室に来てくれた。