君がいないと落ち着かない
千尋の手から本を取り上げると、興味深そうに黒い本を眺めた。
「なんて読むんだ?じゃ…じゃん、どぅる?…ん、なんだこれ」
「ジャンドルだよ、バカ」
笑いを含んだ声で言うと榊は、冷たく合っていた目を逸らした。
「誰から?あ!」
何かを思い出したかのように目を見開いて千尋を見つめる榊は、彼から離れ教室内を見回して声を上げた。
「夏井!田島!こっち」
榊が2人を呼んだ。
「何だよ」
田島、夏井と順に集まって来た。
「ほら、秋レクのときに千尋が言ってた子」
「あ~、青いパーカー着てた子?」
榊、田島と話した後に夏井が止めを刺すように言った。
「好きなんだっけ?」
ニヤリ。3人とも同じ笑みを浮かべて千尋を見ると、視線を交差させながら次々に話しだした。
「へぇー、千尋あの子が…」
「結構可愛い子だったよな?」