君がいないと落ち着かない

「5組の奴らが、その子のこと知ってたよ」
「あいつらよく2組にいるよな」
「何か、ぶっ飛んだ子らしい。面白いんだって」
千尋は目の前ので繰り出される会話に耳を傾けていたが、思い出したかのように3人の間に口を挟んだ。
「勝手に話を進めるなよ」
「え?好きじゃないの?」
「……」
夏井の言葉を聞いて身を引いた。
好き…なのか?
付き合ったことは何度もあるけれど、そういった告白とかはいつも向こうからだったり、話のノリでなんてしょっちゅうだ。
ふと前の彼女、その前の彼女と順に顔が出てきたが、中学2年の頃の付き合った子の顔が出て来なくなった。
「なんて名前?」
「確か…青倉忍って名前だよ」
田島が言った。
その瞬間に彼女の顔が浮かんだ。
ぱっちりした目に、赤く光っていた肩ぐらいの髪の毛、整った眉に細い曲線で描かれた鼻の形、ぽってりしていて魅力的な唇。


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