君がいないと落ち着かない
すべてのパーツが均等に細く丸みのある輪郭に納まって、千尋を真っすぐに見ている。
丁度3日前に彼女と身長が頭2つ分ぐらいの差があると分かった時の場面によく似ている。
頭に浮かんだ彼女に浸っているうちに、身体は火照ってきて背中や手や足から汗が滲むのを感じた。
顔が熱くて首の後ろや頭皮にまで汗が染み出ているようだ。
「千尋?どうした?」
「…………いや」
「青倉忍のことか?」
さらに、顔と耳に熱が溜まるのが分かった。
「おい、顔が真っ赤だぞ?」
「え!?」
隠すように赤い顔を両手で包んでみると、火照った頬は当てた手の冷たさを心地よく感じていると、夏井が言った。
「…お前、そんなに好きなのかよ」
「え?」
「本気なんだ…、ちょっと意外」
「今までとは違うタイプだよな」
榊、田島と順に言った後、少しの間を置いて夏井がまた言った。