君がいないと落ち着かない

彼女の黒いカバーの本を抱き締める腕に目を移すと、視界の隅で彼女も視線を下げるのが見えた。
彼女の肩が上へと上がり、息を吸い込む音が2人だけの静かな廊下に微かに聞こえる。
「………何かの」
頭に柔らかい声がかかる。
怯え、不安、疑問。
震えを押し殺したような声で彼女は千尋に問い掛けてきた。
『罰ゲームです…か?』
















< 92 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop